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結婚や出産などで家族が増えたとき、新居を「持ち家」か「賃貸」で迷われている方も少なくないでしょう。
「いずれは持ち家を購入したいけど、自己資金が少ない今は賃貸で…」という方が多いと思いますが、なかには「このまま賃貸に住み続けても良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
持ち家と賃貸にはそれぞれ、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
一生を持ち家または賃貸で暮らすときの住居費を含めて、それぞれの特徴を紹介します。
【持ち家と賃貸のメリットを比較】
最初に、持ち家を購入するメリットと賃貸で新居を探すメリットを、それぞれ見ていきましょう。
持ち家のメリット
持ち家を購入するメリットの一つが、「自由度の高さ」です。
賃貸の場合、部屋の模様替えをするにも壁紙一枚変更できない物件がほとんどですし、ペットを飼うことを禁止している物件もあるなど、さまざまな利用制限があります。
持ち家であれば、リフォームや建て替えも自由にできますし、ペットと一緒に住んでも誰の許可を得ることなく自由に過ごせます。
庭付きの物件なら、家庭菜園やガーデニングを楽しんだり、子どもやペットの遊び場として活用したりするのも自由です。
賃貸にも庭付き物件が増えていますが、共有スペースとなっていることがほとんどで自由に使えない物件が多く見られます。
また、注文住宅を建てる方なら家族構成やライフスタイルなどにあわせた間取りや、こだわりの設備なども自由に決められますから、満足度の高い暮らしを実現しやすいでしょう。
こうした唯一無二の家を手に入れられ、しかも「自分や家族の資産になる」という点も持ち家ならではの魅力です。住宅ローンを完済すれば、完全に自分たちの家になりますから、老後も安心して暮らせるでしょう。
もし、その家に住まなくなったら売却することも可能ですし、賃貸の戸建として家賃収入を得るといった選択肢もあります。
賃貸のメリット
賃貸を選ぶメリットは、「初期費用が安い」ことが挙げられます。
持ち家の場合、頭金や諸費用といった初期費用だけで数百万円も必要ですから、ハードルの高さを感じている方もいらっしゃるでしょう。
それに対して賃貸の初期費用は、数十万円くらい。
敷金や礼金、不動産会社への仲介手数料などをあわせて家賃の三ヵ月分くらいの物件が一般的です。
コストの点でいうと、「家賃以外のランニングコストが不要」な点も、賃貸の魅力ではないでしょうか。
照明や給湯器、エアコンなど備え付けの設備が故障しても、修理代や買い替えの費用などはオーナーの負担です。
また、固定資産税や建物の火災保険料といった税金や保険料もオーナーが支払いますから、入居者は家賃以外の住居費はほぼ皆無です。
「住み替えも簡単にできる」ことも、賃貸を選ぶ大きなメリットでしょう。
部屋が手狭になって広い物件を選ぶのも容易にできますし、近隣トラブルなどに巻き込まれても新しい賃貸物件に引っ越せば解決します。
持ち家でも住み替えは可能ですが、売却するのに数ヵ月もの時間を要したり、希望した売却額で売れなかったりと、賃貸と比べると気軽に引っ越せないことが多いです。
【持ち家と賃貸のデメリットを比較】
続いて、持ち家を購入するデメリットと賃貸で新居を探すデメリットについて、それぞれ見ていきましょう。
持ち家のデメリット
持ち家は住み始めてからの「住居費はすべて自己負担」であることがデメリットといえるでしょう。
照明や給湯器、エアコンといった設備の購入費用から設備が故障したときの修理費用、買い替え費用はすべて自己負担です。
また、固定資産税や火災保険の支払いも必要ですし、リフォームなどの費用も計画的に貯蓄しておかなければなりません。
また、「住み替えが難しい」ことも持ち家のデメリット。
売却すれば良いと思われがちですが、すぐに買い手がつくとは限らず、いつまでも売れないケースもあります。
特に、注文住宅は、嗜好の合う人がなかなか見つからず売れ残りやすい傾向がありますから、売却の予定が決まっている人はこだわりを減らすなど売れやすい家づくりをする工夫も求められます。
賃貸のデメリット
賃貸のデメリットの一つが、「利用制限が多い」ことが挙げられます。
「ペットを飼いたい」「楽器の練習をしたい」といったこだわりの条件が多くなるほど物件は限られてきますし、こだわりの設備に取り換えたくてもオーナーの許可がなければ変更できません。
自由度の点では、持ち家の方が高いといえます。
また、「家賃の支払いが半永久的に続く」こともデメリットです。
いくら家賃を払い続けても、賃貸物件の所有者はオーナーですから自分の資産になることはありません。
そこに住み続ける限り、家賃の支払いが必要です。
とりわけ、老後の収入源が年金だけという方にとっては家賃の支払いが家計の負担となることもありますので、賃貸に住み続ける場合でも資金計画をしっかり考えておく必要があります。
資産整理を目的として定年退職後に賃貸に住み替える方もいらっしゃいますが、賃貸物件も安定した収入がないと借りられないこともあります。
入居時にはオーナーの審査があり、収入源が年金のみという方だと審査に落ちる場合もありますから、老後を賃貸で暮らす予定の方は定年退職前に物件を確保しておくと安心です。
【持ち家と賃貸の生涯コストを比較】
持ち家と賃貸のメリット・デメリットを紹介しましたが、コストだけで比べると「初期費用の少ない賃貸の方が良い」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、初期費用や税金などのランニングコストを考えると賃貸の方が住居費を安く抑えられそうに思われがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。
そこで、持ち家で一生を暮らす場合と賃貸で一生を暮らす場合とで、住居費にいくらかかるのかをシミュレーションしてみます。
シミュレーションするにあたり、ここでは「子どもが生まれた30歳の方が、50年間にかかる住居費」で、それぞれのトータル額を求めました。
持ち家で50年間にかかる住居費のトータルコスト
持ち家は、当社本店のある平塚市で一般的な4LDKタイプの新築戸建住宅を購入する場合でシミュレーションしました。
平塚市の戸建住宅の平均相場は、約3,000万円です。
この家を、物件価格と諸費用を合わせた3,300万円を住宅ローン(全期間固定金利のフラット35)から借り入れて購入するとします。
なお、ローンの金利は2022年2月現在の1.35%を適用、返済期間は35年です。
また、固定資産税や火災保険などの税金や保険料、さらに設備交換やリフォームなどの費用として、トータルで500万円を計上します。
この条件で、持ち家に50年間住み続けた場合のトータル住居費は、以下の通りです。
頭金 | 0万円 |
---|---|
住宅ローン返済額 | 4,142万円 |
固定資産税 | 600万円 |
火災保険 | 50万円(10年で10万円) |
修繕・リフォーム | 500万円 |
合計 | 5,292万円 |
参考:フラット35「ローンシミュレーション」
https://www.flat35.com/simulation/simu_01.html
賃貸で50年間にかかる住居費のトータルコスト
賃貸のメリットは、家族構成などに合わせて住み替えができることです。
そこで、子どもの成長に合わせて2LDKと3LDKを住み替えながら50年間を賃貸で暮らすと仮定します。
具体的には、以下のタイミングで引っ越すと仮定しました。
【1回目】子どもが生まれたタイミングで2LDKタイプの賃貸に引っ越す
【2回目】子どもが小学校に入学する6年後に3LDKタイプの賃貸に引っ越す
【3回目】子どもが独立する25年後に2LDKタイプの賃貸に引っ越す
なお、平塚市の家賃相場は2LDKタイプが6.7万円、3LDKタイプは8.8万円(2022年2月現在)です。
これが50年間変わらないものとします。
また、家賃とは別に管理費として月額5,000円、駐車場代は月額5,000円を計上します。
このほか、新居に入居する際には敷金・礼金・仲介手数料として家賃の3ヵ月分、更新料として家賃1カ月分を踏まえるほか、引越し代として2回目と3回目の2回分を含めます。
この条件で、賃貸に50年間住み続けた場合のトータル住居費は、以下の通りです。
家賃 | 約4,500万円 |
---|---|
管理費 | 300万円 |
駐車場代 | 300万円 |
敷金・礼金等 | 約67万円 |
更新料 | 173万円 |
引っ越し代 | 20万円 |
合計 | 約5,460万円 |
持ち家の方が安い結果に
シミュレーションの結果、持ち家の住居費は約5,292万円、賃貸は約5,460万円で、持ち家の方がわずかながら安い結果になりました。
一般的に、賃貸にはオーナーの利益が含まれます。
このため、住宅ローンを利用して持ち家を購入するよりも賃貸の方が住居費は高くなる傾向があるのです。
【まとめ】
持ち家と賃貸を、それぞれの特徴や住居費で比べましたが、一番の違いは「自分たちの資産になるか」ということ。
売却により現金化することもできますし、賃貸の一戸建てとして家賃収入を得るといった資産活用も可能です。
一方で賃貸は、どれだけ家賃を払い続けても自分や家族の資産になることは一生ありません。
人それぞれの考え方がありますから、どちらが良いとは一概にはいえませんが、いずれマイホームを購入する予定がある方であれば、住宅ローンを利用して早いうちに買った方が住居費を抑えられ、将来も安心して暮らせるのではないかと思います。
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