住宅ローンで借りられる額と返済できる額は違う?年収別に無理のない返済計画を立てるポイント


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住宅ローンの融資額は、現在の年収などに応じて「借入可能額」を金融機関で決めています。
その額をあらかじめ知っておくことで金融機関の審査に通りやすくなりますが、「借入可能額」と「無理のない返済額」とは別物であることには注意が必要です。
限度額いっぱいまで借り入れると、返済が滞るリスクが高まります。

今回は、年収ごとの目安の借入可能額を紹介するとともに、無理のない返済計画を立てるポイントをお伝えします。

 

【借入可能額の算出方法は?】

そもそも、借入可能額はどのように算出されるのでしょうか。
その方法は金融機関によっても若干異なりますが、多くのところでは以下の要素を元に借入可能額を決めています。

・年収

・返済期間

・返済負担率(返済比率)

・審査金利

・ほかのローンの借入額

など

「返済負担率」とは、年収に対する年間のローン返済額の割合です。

たとえば、年収400万円の方が年間120万円(毎月10万円)を返済する場合、返済負担率は30%になります。
多くの金融機関では返済負担率を30%前後に定めていますが、ゆとりある返済プランを立てるためには、25%くらいが適切だといわれます。

「審査金利」とは、金融機関が将来を見越して独自に定めた金利です。

現在は低金利でも、いずれ金利が上昇する可能性があります。
金利が上昇すれば返済額が増え、滞納するリスクが高まりますから、金融機関ではあらかじめ高い金利(審査金利)で借入可能額を求めることにより、住宅ローンの破綻リスクを抑えているのです。
なお、審査金利は実際に適用される金利より1~2%高く設定する金融機関が多く見られます。

「ほかのローンの借入額」とは、カードローンや自動車ローンなど、住宅ローン以外のローン借入額のことです。

「ほかにも支払いがあるのに住宅ローンが返せるのか?」という視点でも、金融機関ではチェックしていますから、借入可能額を多くしたい方は他のローンをできるだけ返済することをおすすめします。

 

【年収ごとの住宅ローン借入可能額の目安表】

上で説明した内容を踏まえて、住宅ローンの借入可能額を年収別にシミュレーションしてみましょう。
なお、シミュレーションにあたり前提条件は以下の通りです。

・返済期間:35年

・返済負担率:25%

・審査金利:2%

・他のローンの借入額:0円

この条件で、年収別の借入可能額は以下の表です。

年収 借入可能額
300万円 1,886万円
400万円 2,515万円
500万円 3,144万円
600万円 3,773万円
700万円 4,402万円

参考:住宅保証機構「住宅ローンシミュレーション」
https://loan.mamoris.jp/

 

年収300万円の借入可能額は1,886万円

年収300万円の借入可能額は、1,886万円が目安です。
新築だと物件数が限られてくるものの、中古も含めれば選択肢は広がるでしょう。

金融機関によっては、もう少し多く借り入れできるところがあるかもしれません。
しかし、1,886万円を借り入れたときの毎月の返済額は、約6万2,000円です。
年収300万円の手取り給与は月18万円弱くらいでしょうから、住宅ローンを支払うと11万円くらいしか残りません。
現在の支出状況と比べて返済が厳しい場合は、返済負担率を20%くらいに下げて考えるのも一手です。
借入額は1,509万円に下がりますが、毎月の返済額は5万円弱にまで抑えられます。

 

年収400万円の借入可能額は2,515万円

年収400万円の借入可能額は、2,515万円が目安です。
立地にもよりますが新築でも物件数は多いですし、注文住宅も手に届く範疇でしょう。

年収400万円の手取り給与は、月25万円弱くらいの方が多いと思います。
毎月の返済額は約8万3,000円くらいなので、ローンを支払っても15万円以上は手元に残ります。
ただし、家計の状況は人それぞれですから、15万円では厳しいという方は返済負担率を20%に下げてみましょう。
借入額は2,012万円になるものの、毎月の返済額は6万7,000円弱にまで抑えられ、ゆとりが出てくるでしょう。

 

年収500万円の借入可能額は3,144万円

年収500万円だと、借入可能額が3,000万円を超えてきます。
神奈川県西部の新築4LDK住宅の相場は約3,000万円ですから、住まいの選択肢が広がるでしょう。

毎月の返済額は約10万4,000円。
手取り給与が月30万円くらいの方であれば、ローンを支払っても余裕があります。
ただし、ワンランク上の家を目指そうと借入額を増やすのは注意。
仮に、返済負担率を30%に上げると借入額は3,773万円にアップしますが、毎月の返済額も約12万5,000円に上がるため、家計の状況によっては返済が厳しくなるかもしれません。
子どもの教育費など、支出が増える時期を見越して貯蓄することをおすすめします。

 

年収600万円の借入可能額は3,773万円

年収600万円の借入可能額は、3,773万円が目安です。
庭の広い住宅や好立地の物件なども視野に入ってくるでしょう。
注文住宅を建てる場合は、ワンランク上の設備を採用するなど、こだわりを叶えやすくなるかもしれません。

毎月の返済額は約12万5,000円です。
手取り給与は月35万円という方なら、十分にゆとりがあります。
返済負担率を30%にすると、借入額は4,528万円。毎月の返済額は15万円弱になりますから、現状の生活費と比べて返済できそうであれば30%で検討しても良いでしょう。
ただ、無理をしてまで借入額を増やすのは注意が必要です。

 

年収700万円の借入可能額は4,402万円

年収700万円だと、4,000万円以上の家も手に入ります。
毎月の返済額は約14万6,000円なので、支払後も手元に25万円弱は残せるでしょうから、余裕があれば返済負担率を30%でシミュレーションしても良いかもしれません。
30%だと毎月の返済額は175,000円くらいになりますが、借入額は5,282万円まで増やせます。

なお、返済負担率が35%になると毎月の返済額は20万円前後になりますので、無理をしない範囲で借入額を決めることが大切です。

 

【限度額まで借り入れるリスク】

これまで紹介した借入可能額は、返済負担率を25%で算出しています。
ところが、多くの金融機関では返済負担率を30%前後で設定していますし、住宅金融支援機構のフラット35だと年収400万円以上であれば返済負担率の上限は35%です。
つまり、上記で紹介した額より高い額を借り入れることも可能です。

限度額いっぱいまで借り入れができれば、ワンランク上の家を手に入れられるかもしれませんが、借入額が多くなれば毎月の返済額も増えます。返済額が増えれば、家計が苦しくなることは誰もが想像できることです。
何かを切り詰めるにも、いちばん支出が多いのが住宅ローンですから、いずれローンの滞納が始まるでしょう。

滞納が一定期間続くと、金融機関は回収に向けてあらゆる手を尽くしてきます。

住宅ローンを契約する際には抵当権を設定しますが、これは返済ができなくなったときに家を差し押さえて競売にかけて残債を回収できる「金融機関の権利」という意味でもあるのです。
しかも、競売の額が残債に満たなければ、その差額を契約者に請求できる権利もあります。

住宅ローンを滞納すると、最悪のケースは住む家を失うばかりか借金に追われる日々を送ることもありますので、無理な借り入れは禁物です。

 

【借りられる金額と返せる金額は違う】

住宅ローンを契約するまでは、どうしても金融機関の審査にとらわれ「いくらまで借りられるか」という点に着目しがちです。
しかし、借入額よりも重要なのは「いくらまでなら返せるのか」という視点を持つことではないでしょうか。
借りられる金額と返せる金額は、違うのです。

たとえば、年収400万円の借入可能額は、返済負担率が25%だと2,515万円ですが、返済負担率を30%で求めると3,018万円まで増やせます。
実際に多くの金融機関では、この額でも融資は可能です。
では、3,018万円を借り入れたときに毎月の返済額がいくらになるかというと、約10万円になります。
手取り給与が月25万円弱くらいの方にとって、給与の約4割が住宅ローンの返済で消える計算です。

もちろん、将来的に収入がアップして返済負担が軽くなることも考えられるでしょう。
しかし、負担が重くなる可能性も考えられます。
病気や事故などで長期間入院して収入が減ることがあるかもしれませんし、子どもの教育費が想定以上にかかるケースもあるでしょう。

収入減や支出増になっても、住宅ローンは毎月同じ返済額を求めてきます。
こうした事態になっても滞ることなく毎月返済できる額を、あらかじめ把握しておくことが大切なのです。

金融機関が借入可能額を求める際に、個々の家計の状況まで把握して算出するわけではありません。
ましてや、将来のライフプランでどれくらいの費用が必要かも人ぞれぞれですから、細かく計算していないのです。
だからこそ、借入額は限度額いっぱいではなくやや少なめに設定し、不測の事態が起きても対応できるよう余裕を持った資金計画を立てることが大切なのです。

 

【まとめ】

住宅ローンの借入可能額をあらかじめ調べておけば、予算を把握できるので物件選びがしやすくなります。
金融機関の審査にも、通りやすくなるでしょう。

ただし、借入額を決めるときは「返済できる額」も把握しておくことが大切です。
長い返済期間中に、どのようなライフイベントがあり、どれくらいの支出が想定されるかを予測しておかなければ、いざ必要になったときに困ってしまいます。

将来を予測することは難しいものですが、金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、滞りなく返済可能なゆとりある資金計画を立てることが無理のないプランを作る上で大切なポイントなのです。

 


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