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住宅ローンを利用してマイホームを購入された方には、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が適用され、納めた税金から還付金が受け取れます。
控除を受けるには一定の条件を満たす必要があり、その一つが「確定申告を行うこと」です。給与所得者には馴染みのない確定申告ですが、申告しなければ数万円から数十万円の還付金を受け取れませんので、忘れずに行いたいところです。
ここでは、住宅ローン控除の基礎知識に加え、確定申告の方法や手順、注意点などをまとめてご紹介します。
【住宅ローン控除(減税)とは】
まずは、住宅ローン控除の基本的な情報をお伝えします。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームの購入や建築・増改築をした方に対して、所得税や住民税が控除される国の制度です。具体的な内容は、2022年度に大きく改正されたので最新の情報を確認する必要がありますが、大まかにいうと年末のローン残高に応じて所得税や住民税から還付される仕組みになっています。
ちなみに2022年度の改正内容は、控除率が0.7%、控除期間は原則13年となっています。また、控除額には限度額が設定されており、家の省エネ性能によって異なります。たとえば、省エネ基準住宅の場合の限度額は4,000万円、認定住宅の場合は5,000万円です(いずれも新築の場合)。
単純計算ですが、省エネ基準住宅を購入して年末のローン残高が4,000万円以上ある方なら、控除率0.7%を掛けた28万円が年間の最大控除額となります。
住宅ローン控除で、実際にはどれくらいの還付金が受けられる?
上記で示した最大控除額は、誰でも受け取れる還付額ではありません。なぜなら、納めた税額以上に返ってくることはないからです。
住宅ローン控除は、所得税と住民税から還付されるものですから、納税した金額以上の還付はされません。また、住民税には控除上限額(13万6,500円)があるため全額戻ってくることもないのです。
一例として、所得税を10万円、住民税を20万円納めた方の年末時のローン残高が4,000万円だった場合、最大控除額は28万円でも、住民税は13万6,500円までしか控除できないため、これに所得税の納税額を足した23万6,500円が還付金になります。
【住宅ローン控除を適用するのに確定申告が必要な理由】
住宅ローン控除を受けるには、確定申告を行う必要があります。これは、毎年申告している自営業者はもちろん、給与所得者も家を購入した翌年に申告しなければ、控除が適用されません。
給与所得者も確定申告が必要なのは、住宅ローン控除が所得税から還付される仕組みだからです。そもそも確定申告とは、前年度の所得税額を報告する制度であり、給与所得者の場合は勤務先の年末調整がこれに当たります。
もし、所得税を納め過ぎていた場合は、申告することで還付金が受け取れます。住宅ローン控除は所得税から控除されるものですから、納め過ぎていた方と同じように確定申告をすることで、還付金が受け取れる仕組みになっています。
なお、給与所得者が確定申告をするのは、提出書類の多い初年度のみで大丈夫です。2年目以降の手続きは簡略化され、勤務先の年末調整で申告するかたちになります。
【確定申告の方法】
確定申告は、必要書類をそろえて管轄の税務署に提出することで受理されます。申告期間は例年2月16日から3月15日ですが、給与所得者は1月からでも申告できますので、早めに動くことをおすすめします。
ここから、確定申告の流れや必要書類について解説しましょう。
確定申告の手順
確定申告は、税務署に提出する必要書類を集めるところから始めます。必要書類は後ほど説明しますが、すぐに取得できないものもあるため、早目に動き始めることがポイントです。
書類が揃ったら、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「確定申告書(A様式)の第一表・第二表」を作成します。作成を終えたら、必要書類と一緒に管轄の税務署に提出するのが一連の流れです。
提出方法について
書類の提出方法には、「窓口で提出」「郵送」「電子申告(e-Tax)」の3種類があります。
税務署の窓口に提出する場合には、担当者に書類作成上の不明点などを質問できるので初めての方には適しているでしょう。ただ、申告期限が迫ると窓口が混雑しますから、余裕をもって足を運ばれることをおすすめします。
税務署まで行く時間がない方は、郵送か電子申告(e-Tax)となりますが、最近は電子申告をされる方が増えているようです。スマートフォンやパソコンでも申告できますし、添付書類は電子化して送ればよいので、気軽に済ませられます。なお、電子申告をする際にはマイナンバーカードとそれを読み込むカードリーダーが必要です。
確定申告の必要書類と入手法
住宅ローン控除を適用するために確定申告をする場合、必要な書類と入手方法は、次の通りです。
(1)確定申告書A(第一表と第二表)
税務署に行ってもらうか、国税庁のホームページからダウンロードして入手します。
(2)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
こちらも税務署または国税庁のホームページから入手できます。
(3)勤務先の源泉徴収票(給与所得者のみ)
給与所得者の方は、勤務先から源泉徴収票を入手しましょう。
(4)住宅ローンの借入金残高証明書
年末になると、借入先の金融機関から送られてきます。なくさないように、大切に保管しておきましょう。
(5)土地・建物の登記簿謄本
管轄の法務局で入手します。土地に関しては、不動産会社から入手できることもあるので確認しましょう。
(6)不動産売買契約書または建築請負契約書
不動産会社または施工会社で契約したときの書類です。
(7)マイナンバーカードなど本人確認書類
マイナンバーカードを持っていない方は、「マイナンバーの通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票の写し」と、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類でも対応できます。
(8)認定通知書の写し
認定長期優良住宅などの認定住宅を購入された方は、認定通知書の写しを準備しましょう。
確定申告書の記入法~計算明細書を作成する
上記必要書類のうち、「(1)確定申告書A(第一表と第二表)」と「(2)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は、自分で作成する必要があります。作成手順は、(2)から進めるとスムーズです。
(2)に記入する内容は、主に「(4)住宅ローンの借入金残高証明書」「(6)不動産売買契約書または建築請負契約書」から転記します。床面積や居住開始日、購入費用、住宅ローンの年末残高などの項目を、必要書類を確認しながら記入しましょう。
また、(2)の「控除証明書の要否」の欄にチェックすることで、給与所得者の方は翌年度から年末調整のみで申告できるようになります。後日、年末調整の際に提出する「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」という書類が管轄税務署から送られてきますので、こちらも大切に保管しておきましょう。
確定申告書の記入法~確定申告書を作成する
(2)の作成が完了したら、「(1)確定申告書A」の第二表を作成していきます。こちらは主に(2)の計算明細書を転記するかたちになりますが、給与所得者の方は「(3)勤務先の源泉徴収票」も必要です。第二表を書き終えたら、それをもとに第一表を記入していきます。
初めての方だと、書類作成時に不明点が出てくることもあるでしょう。わからない点は、税務署の窓口で相談しながら書き進めると安心です。
なお、記載不備や書類不足があって申告期限に間に合わない場合、住宅ローン控除が適用されないこともあります。特に初めての方は、スケジュールに余裕をもって進めることをおすすめします。
【年末調整の方法】
給与所得者が確定申告をするのは、提出書類の多い初年度(家を購入した翌年)のみです。2年目以降は、勤務先の年末調整で住宅ローン控除の手続きが完了します。年末調整でも、書類を揃えたり作成する必要があるため、ここでは必要書類のポイントをいくつかお伝えします。
年末調整の必要書類と入手法
年末調整で、住宅ローン控除に関する必要書類は、次の2種類です。
(1)「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
(2)住宅ローンの借入金残高証明書
(1)は管轄税務署から送られてくる書類です。確定申告した年の年末頃に郵送されてきます。(2)は確定申告でも提出した書類で、借り入れている金融機関から年末頃に送られてきます。
いずれも、年末調整の前にそろえる必要がありますが、勤務先の年末調整に間に合わなかった場合には、後日書類が届いてから勤務先に提出し、年末調整の再計算をしてもらうことで住宅ローン控除が受けられます。
年末調整の記入法
(1)には、住宅借入金等特別控除証明書の内容を転記することで作成できますが、「年間所得の見積額」の欄には源泉徴収後の金額が必要です。年末調整前なので源泉徴収票が発行されていないかもしれませんから、勤務先に確認した上で記入しましょう。
【ふるさと納税をされている方の注意点】
住宅ローン控除を受けている方の中には、「ふるさと納税」をされている方も少なくないでしょう。一定額のふるさと納税をされた方には、住宅ローン控除と同じく所得税や住民税が控除されます。
この二つは併用できますが、還付金が増えない可能性もあります。なぜなら、納めた税額以上に返ってくることはないからです。住宅ローン控除をした後に、控除し切れないだけの納税をされている方なら、ふるさと納税の控除をすることで還付金を増やせますが、住宅ローン控除の額より納税額が少ない方は、ふるさと納税の控除をしてもその分は受けられないことになります。
ふるさと納税の控除をされる方は、住宅ローン控除後に所得税や住民税から控除できる額があるかをチェックした上で申告するとよいでしょう。
【まとめ】
住宅ローン控除が適用されると、最長で13年間は所得税や住民税が控除されます。適用されるには確定申告が必要で、提出書類を集めたり書類を作成したりする手間がかかります。しかしその作業で毎年数万円から数十万円の還付金が受けられますから、ぜひ活用したい節税制度です。
新居での暮らしと家計にゆとりを生む制度ですから、住宅ローンを利用してマイホームを購入された方は確定申告を忘れずに行いましょう。
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